2018-06-29

製作風景、機械造形に思うこと







完成間近のマルハナバチ達。石留めが終わりフィッティング&細部をチェックして最後の仕上げにまわします(^-^)

マルハナバチのシリーズは青系の石を選んでおり、今回使用したのはペアシェイプのタンザナイトとサファイア、オーバルカットのブルージルコン。ジルコンは不憫にも合成石のキュービックジルコニアと混同されがちな宝石ですが、ダイヤモンドと同じ金剛光沢を持ち屈折率も高い事から古代より宝飾品に使われている天然の宝石で、明るい水色は光を取り込んで強い輝きを放つのが特徴です。

まだ仕上げ前なのでモノクロスナップですみません....(^ ^;)完成しましたら、展示会&1dayサロンにてお披露目予定でおります*






クッキー生地のように延ばした、それぞれK18イエローゴールド、K18ホワイトゴールド、プラチナの板材。ハチの羽をレーザーで切り出した残りです。こうして見ると型抜きしたように見えますが元になる金型はなく、レーザー光で板を焼き切って抜き出してゆくのです。
以前は金型を使って切り抜く際には数をまとめて作らなければならなかったパーツも、使う宝石やデザインにあわせ一つひとつ羽のサイズや内側の模様のアレンジが可能となったのは嬉しいテクノロジーの進歩です。


少し専門的な話になってしまいますが、先日国際展示場にて行われていた機械要素技術展でレーザー機や付加製造機の最新版を色々視察し、幾つか展示されていたレーザーカッティングの機械や切り出しサンプルなども見せて頂きました。(余談ですが、"付加製造" の方は、最近では Additive Manufacturering "AM"というそうです。3Dプリンティングという言葉も金属造形にはそぐわないように感じていましたし、日本語の"付加"よりこちらの"add"という方が製造イメージが的確に伝わるのが面白かったです)

ジュエリーも分野としては製造業に入りますので、テクノロジーを取り入れる =量産、効率化、という近代産業のイメージを持つ業者さんも多いのですが、先程の羽パーツのように使い方によっては個々の趣向に合わせたクチュールメイドのものづくりにも役立てることができますので、今の技術でどんな事ができるのかはなるべくチェックすることにしております。
私が自分のアトリエのジュエリー制作を職人さん達のハンドメイドベースにこだわっているのは、その方法でなければ納得できる美しいフォルムが生み出せないというのが一番の理由ですので、機械造形すべてが否なのではなく、美しさを生み出す感性を機械造形にどこまで反映させられるかが重要と捉えております。例えばレーザー機のようなテクノロジーは使う技術者さんの熟練度で可能性がとても広がりますし、ものづくりの根幹が揺るがなければ新しい機材を導入してゆくことにも、吟味はしつつ常にポジティブでありたいと思います*(^-^)*