2018-12-31

今年もあとわずか...

今年最後のBlogは大晦日の更新となってしまいました;;;
アトリエの掃除は片手間に、休み中に仕上げなければいけないデザインスケッチと画像データの整理で年が明けてしまいそうです(^-^;)
少し時間が経ってしまいましたが、今回は月初めに訪れていました見本市で出会った宝石のことなど。

見本市ではまずクオリティの高いルースを用意してくれる馴染みの業者さんのブースへ。こちらは何時も大勢のバイヤーで混雑しているのですが、社長さんがスタッフスペースに即席のデスクを設けて下さりじっくりとルース選定させて頂けるので本当に有り難いです♫








無処理のカラーサファイア。レモンイエローよりもっと淡いシャンパーニュカラー、ぽってりと深めにとったクッションカットが光を採り込んで強烈に輝きます(*o*)
加熱処理を施さず、そのままでも充分に透明感のある美しいルースはスリランカで採掘されたもの。他にもマダガスカル、モザンビークなど採掘地が明確にされているルースの中からインクルージョンや色ムラの少ない、美しいものをピックアップしてゆきます。
その素材がどこから来たのかを遡って追跡可能な 「Traceability(トレーサビリティ)」 の観点は、宝石においても例外ではない時代になってきていると最近特に感じます。

少し話が横道にそれますが、
今年9月にダイヤモンドの最大手企業デビアス社が発表した人工ダイヤモンドのブランド「Light Box」を今週になって日本のメディアが "養殖ダイヤモンド" という造語で紹介したため(個人的には生命のない鉱物に"養殖"という日本語を充てるのは非常に違和感を覚えますね...^^; )販売時に消費者への混乱を招くのではと業界内で懸念されておりました。
技術の発展に比例して合成品や模造品、類似品がますます増えるであろう今後、お客様に安心してジュエリーをお楽しみ頂くためには、ファッションや食品の分野で広く浸透している「トレーサビリティ」をジュエリーにも積極的に組み込んでゆくのが理想的なのでしょう。が、残念なことに国内の一般的な鑑別書で産地の表記まではできなかったり、流通ルートも多岐にわたるため業界全体でシステムを整備するのは非常に難しそう...。それでも可能なかぎり、その色石がいつ頃どこで採れたものか、現地の状況や研磨の基準など業者さんに細かくヒアリングする事で、お客様に精度の高い情報をお伝えできればと考えております。




今回予定していた買付けを終え、帰り際に混雑を避けるため迂回して通った通路でふと目にした初見の業者さんの棚に、一寸気になる色のルースを発見。少しグレーをかんでいるものの独特なネオンカラーが気になりケースをチェックしますと、何とパライバトルマリンの表記。
僅かにくすみを帯びたブルーグリーン、オーバルシェイプの一端に滲むイエローが個性的です。3ct以上のカボションカットで比較的インクルージョンの少ないものは珍しいので買い付けされた方に聞いてみると、なんとこのルースは手違いでカボションになってしまったというのですΣ(*o*)!!




ドイツの採掘業者が掘り当てたこのルース、セオリーではこのクラスの透明度が高くインクルージョンの少ない石はファセットの入ったカット指定で研磨に回されるのですが、何らかの手違いで「カボション」と指定され研磨してしまったそう。そのまま使い道が無くデッドストックとして金庫にしまわれていたものを、昔の素材を買い付けていた業者さんが見つけて輸入し、更に見本市の初日に通りかかった私の元にやってきたという訳です。パライバトルマリンのカボションは常に探していますがなかなかお目にかかれないと思いきや、偶然が重なりこうしてふいに巡り会えることも。




写真では色味が正確に再現できないのですが、こちらは曇ったラグーンブルーに交錯するインクルージョンが浮かび上がる6.6ctのルース。歪なシルエットはクチュール仕立ての風格です^^
2つのユニークなトルマリンは、現在成分分析にかけており年明けには手元に戻ってくる予定です。もしかしたら1月の1dayサロンや春の個展でお目にかけられるかも知れません☆

慌ただしくなりがちな大晦日、皆様どうぞ穏やかで良い新年をお迎え下さいませ*


Tamako Tsuda