2010-06-25

ボッコちゃんと錦鯉


世田谷文学館で開催している「星 新一展」が今週末で終わってしまうので、駆け込みで観てまいりました。(実は妹が仕事で関わっており、面白い展示だからぜひにと言われていたのに、会期ギリギリになってしまった...ごめんなさい;)

短編作家として知られる星新一の作品や生い立ちから、作品世界を視覚化したインスタレーションまで、ユニークな手法で展示している会場。極小の文字がびっちり敷き詰められた直筆原稿も陳列されていてその細かさにびっくりです。






こちらは撮影OKの展示。「ボッコちゃん 」(作品に登場するアンドロイド)が迎えてくれるバーカウンターが設置されています。



また常設展示室の方には「MUTTONI」のからくり小箱のコレクションが展示されていて、係の方が定刻に動かしてくれていました。一回に3,4点ずつの上演?なので、全部観る為に何度も通ってしまうかも。








建物を出ると、ちょうど正面玄関のお堀をメンテナンス中で、大きな錦鯉達が手前のスペースに避難させられていました。混み混みで気の毒な気もいたしますが、蒸し暑い歩道から見ればとっても涼しそうでした...*





「星 新一展」〜6/27(日) 
  於:世田谷文学館(世田谷区南烏山1-10-10

2010-06-08

Merci, Air France ♡♡♡


覚えのない宅急便が自宅に届きました。

小包みではなくレター仕様。仕事関係の書類はギャラリーに届くはずだし、なんだろうと送り主をみると航空会社。品名は"Voucher"


ここでようやく思い当たったのが、先月応募したKLM/AF航空のアワードキャンペーン。半端に余っていたマイレージを何とかしないと、と試しにエントリーしておりました、そう言えば。
抽選なんて当たった事のない私がいきなりコレを当てたのか...!!!




そして中身は、というと。



東京→成田までのヘリサービス (*o*)でした♬



2010-06-05

.....恐るべし『Ubu』(*x*)



汐留ミュージアムにて公開中のジョルジュ・ルオー『 ユビュ 』展。


" 知られざるルオーの素顔 " と題されたこの展示、美術館レビューが「宗教画家として知られるルオーの意外な一面 - 熱帯ジャングルと先住民を描いた優美な曲線」というフレーズでしたので、タヒチの風土に魅了されたゴーギャン的な?イメージを浅はかにも思い浮かべてしまったのですが....とんでもない;






(この一見ユーモラスに見えなくもないポスターと明るいオレンジ。いかにも南国ムードなデザインが、会場を出た後では全く別物に見えるのだから不思議です.....)





展示作品はルオー財団秘蔵の、戯曲『ユビュ王』をモティフにした銅版画、木版画、油彩の数々。特に緻密な線によって刷られた銅版画は、底無しに黒い空間から浮かび上がる人物の空虚な表情に吸い込まれそうで寒気を覚えます。虚ろなのに恐ろしいまでの重厚感。最初の一枚目から途切れず続く密度と重力に、息詰まるほど。
決してショッキングな場面を描いている訳ではないのに、描かれた入植者たちの表情にはよくぞここまで、と感心する程の「ワルさ」が漂っています。凝固した悪意の表現を芸術として成立させてしまうルオーの力技、恐るべし。しかもこの"負の芸術"、どこまでも続くのです(>_<)



さらにスゴいのが流麗でのびやかどころか、ある種呪術的なリズムすら感じさせる先住民の描写。宗教画家として知られる彼が感じていた、プリミティブな信仰への畏怖を表現したかったのかとも思わずにはいられません。肖像画では過剰なまでに描かれている表情(顔)が無いのもコワい。日中の戸外の風景にもかかわらず夜の闇を思わせる世界観。同じモチーフを繰り返し、執拗に描こうとする画家の怜悧な眼を目の当たりにし、ただただ圧倒されます....
100点を超える作品達から滲み出す黒い重力に、ふらふらになりながら辿り着いた最後の展示室。新しく収蔵された『キリスト』を含め『エクソドゥス』、『マドレーヌ』など数点ながらルオーの真骨頂とも呼べる"宗教的"作品が展示されていて、『キリスト』などは闇夜の果てに夜明けを見たような、一気に気持ちが浄化される感覚を味わえます。


最後に救いは用意されていたものの、" 新しいルオー発見 " どころか真面目で敬虔、しかも凝り性、という画家の資質を充分すぎるほど(笑)体感した展示でした。見学の方も少なく(平日だったのでほぼ皆無)じっくり鑑賞出来る珍しいミュージアム。今月13日までですが、ルオーの重黒い世界に浸りたい方は、ぜひ。

ルオー財団秘蔵『Ubu』展 〜6/13(日)
於:汐留ミュージアム(東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック電工本社ビル4階)




余談ですが、この展覧会のカタログも秀逸でした。布張りのハードカバー、表紙に画像一切なし。シンプルで美しい♪