2021-04-10

粋か野暮か

先日銀座へ出る機会がありまして、ずっと入ってみたいと思っていた御店へ寄らせていただきました。仕事柄、和洋を問わず金属製品の装飾に目が行ってしまうのですが、特に日本刀の装飾(鐔や目貫など)は現代にもつながる技巧を知る事が出来てとても興味深いです。


こちらの御店は刀剣を中心とした骨董を扱っていらっしゃるのですが、書籍も豊富で素敵な一冊に巡り会えました☺️






明治時代に来日したドイツの蒐集家、ファーレンホルスト氏のコレクションを一部買い戻した日本人コレクターによる御本。当時の外国の方が魅力を感じた鐔の意匠はどれも見応えのある凝りに凝ったもので、白黒ながら細部もはっきりと見る事が出来ます。時間をかけて読みたい一冊。


じっくりと本を選び、御店のご主人と軽く雑談などしていましたら、ちょっと気になった火縄銃を間近で見せて頂けるという幸運も✨
やけに装飾過多なその火縄銃、実は時代が変わった後に象嵌や金工装飾などを施したために、ごてごてと野暮な作りになってしまっているというお話がとても面白く、数百年残っていても、時代によって不要なものが付加されてしまうという貴重な事例を学ぶ事が出来ました。
展示してあるだけでは見えない銃身の裏側、元の飾りの上に立体感のある龍を無理やり乗せてしまっているすごい状態でした...(゚o゚;;)びっくり。






写真もどうぞと仰ってくださり、撮らせて頂いた銃口。こんな感じでお派手です☺️
華やかで素敵ととるか、やり過ぎの野暮ととるか...こればかりは美意識の違いで如何様にも。
(ちなみにご主人の、粋が高じて野暮の極み との見解に私も納得でした)





こちらは十年程前に豪徳寺の骨董屋さんで掘り出したもの。埃汚れで意匠が埋まり真っ黒でしたが、鹿皮で拭きましたら中から不動明王が現れました。いかにも武骨なつくりが何とも味わいがあって、良い感じなのです。