2011年も残りあと数時間....大晦日の今日になってようやくアトリエの大掃除をすませ、今年最後のブログを書いています。
予期せぬ災厄に見舞われた今年は、心の痛くなる事の多い年でした。自分に出来る事のわずかさを実感しながらも、せめて美しいものを創りだし、お目にかける事でひととき笑顔になって頂けたら...と、改めて“デザインすること”の意味を考えた時期でもありました。
また、自分とアトリエについてこの一年を振り返ってみますと、やはり大きかったのは国内外で企業ブランドのジュエリーを手がけさせて頂いた事。これまでもプランニングからデザインまでトータルでご提案する事はありましたが、クリエイティブ・ディレクションという立場でブランドイメージ全てをコントロールする仕事と向き合い、デザインだけでなく様々な要素のバランスをとりながら、言葉や習慣の異なる人達と一つの目的に向かって進んでゆかねばならない難しさやワクワク感、新しい発見もあったりと、とてもスリリングな日々を体験する事が出来ました。
そしてアトリエの方も、おかげさまにてクチュールジュエリー、それもハイエンドのゴージャスな一点ものをご注文頂く機会が増えました。工房の職人さん達も試行錯誤しながら製作することで、大胆で複雑なフォルムをイメージ通りに削りだしたり、石のセッティングが美しく見えるまで何度もチェックを重ねたりと、製作におけるイメージの伝達が格段にレベルアップしたように思います。どんなに微細な違和感でも「(私が)納得しないものはお客様には出せない」と何度でも手直ししてくれる職人さん達の心意気には本当に頭が下がります(>_<)...。
こちらは今年のクリスマスに納品させて頂いた、ピンクグラデーションのリング。お持ちのオレンジピンクのオーバル石の両側に、ルビーとピンクサファイア、アメジストをグラデーションで配しています。石がまるでベリー(木の実)のように、リング部分から溢れそうになっている感じを表現したかったので、かなり際まで石を敷き詰めた繊細なセッティングになっています。
そしてこちらは、レースの繊細なフリルをプラチナとダイヤモンドで表現したリング。イメージを伝えるミーティングで最も難航しただけあって、出来上がった時は職人さん達も私も「やった....完成〜!!!
(感無量)」となってしまい、もちろん顧客様もとても喜んで下さった思い出深い一点です。
来年も、沢山のご縁を大切にしつつ、美しいジュエリーを皆様のお手元に届ける事が出来ますように。どうぞ良いお年をお迎え下さい*