2022-12-31

ダイヤモンドの世界(カラーレス編)


今年のトピックは今年の内に書いてしまおうと、大晦日のブログ更新;;  前回買い付けしたダイヤモンドのカラーレス(白色)についてのお話です。




白のダイヤモンドはDカラーを頂点にE,F,G~とグレードが細かく分かれているのですが、チェックしたダイヤの中にカラーはF判定にも関わらず、一つ上のEグレードの石よりも白く見えてとても綺麗な(これは個人の印象なのでカラーグレードとは関係ありません)石がありました。


その理由を尋ねてみたところ、蛍光性はNONE(無し)という表記でしたが、判定に乗らないレベルのブルーの素地が含まれている為に青白く見えるのだと教えて貰いました。業者さんたちはこの色味をフェイント・ブルーと呼ぶのだそう。

きちんとグレーディング(鑑定)された天然ダイヤモンドには重量やカラー、内包物などのプロフィールが細かく教示されていますが特殊な石でない限り、産出鉱山までは追えないシステムです。けれど業者さんのプロたる所以は、このグレーディング情報を手掛かりに含まれている成分から大方の産地を推測する事が可能なのです...!


フェイントブルーのダイヤモンドは強い青の蛍光を発色するダイヤモンドが主に産出される土壌で生成された石で、これだけでも非常に特徴的なため、鉱山までほぼ特定して良いだろうという結論でした。詳細は書けないのでふわっとした表現になってしまうのですが、事実を積み上げて仮説を立ててゆく方法は推理ドラマの場面を見ているように鮮やかで、鉱山の名前を聞いたときには鳥肌が立つくらいに興奮してしまいました。



最近ではお客様の方もネットや店舗などでダイヤモンドの知識を深く得ていらっしゃる為、投資の為に産出地や成分で宝石を選ぶという方も増えているとの事。情報としてはとても参考になりましたが、宝石はやはり無心で眺めたときに美しいと思えるかどうかも大切にしたいなぁとも思いました。

合成ダイヤモンドや精巧なイミテーションなど、人間の技術が格段に上がってきれいな石が大量生産できるようになっても、地球の遥か深くで気の遠くなる年月を掛け生成された天然の宝石を、その石の持つ物語とともにご紹介できたら良いなと思うのです。

そんなコンセプトで現在新作を製作中。来年はアトリエを始めて20年の節目となりますので、何か新しいものをお届けしたいと思っております。


それではどうぞ皆様、良いお年をお迎え下さい。










2022-12-17

ダイヤモンドの世界(イエロー&ピンク編)


個展から気付けば2ヶ月...今年もあと僅かですね。来年の新作に向けての準備や不具合が起きてしまったウェブサイトの刷新など、今年中に進めておきたいものが詰め詰めで少しずつ慌しくなっている年の瀬です。昨日は久し振りに長年お付き合いさせて頂いているダイヤモンドの業者さんを訪問してまいりました。


探していたのはカラーレスのファンシーカット(丸い形でなく、楕円やクッションと呼ばれる四角いカット、猫の目型のマーキスやハート型のプリンセスなど全部を総称してファンシーカットと呼びます)カラーダイヤモンドは今回はイエローとピンク系に絞って探します。
カラーレス(白色)のダイヤモンドの買い付けと大きく異なるのはやはり色。事前に幾つかピックアップして頂いた中から使うイメージにぴったり来るものを選び、いろいろな条件でカラーの出方を確認したりと、じっくり選ぶのでなかなか根気のいる作業。かなりディープでマニアックな世界に浸ってゆく感じです.....🧐






イエローダイヤモンドはライト(明るい)〜インテンス(強烈な)〜ヴィヴィッド(鮮やか)と色の濃さに段階があり、さらに色味もオレンジ味のあるものからグリーンぽいもの、ブラウンを噛んでいるものなど幅が広いので先ずはピックアップして貰った中から色やサイズ、価格を吟味して使う石を決めてゆきます。
イエローは他の色よりは比較的産出されやすい色味ではありますが、ここ最近トレンドが変わってきたとの事。伺ったマーケットの情報をファッションラグジュアリー市場の動向と照らし合わせて推測してみるのも面白いのです。







イエローは今回こちらの3ピース。あまり色加工したくないので撮りっぱなしの薄暗い画像ですみません💦 右の2つはファンシー・インテンス・イエローという括りになります。
うっすら色が乗っているライトカラーよりも明るい黄色がはっきりわかる印象。左はファンシー・ヴィヴィッド・イエロー。ぱっと眼に刺さる発色の良い山吹色に心惹かれました😁








こちらはピンク系。予算的にイエローよりもぐっと小振りになりますが、ペールトーンからくっきりピンク色、珊瑚色、薄紫に近いものなどこちらもバリエーション豊かです。ピンクダイヤモンドの産出地は大きく3つに分かれており、それぞれの産出地の特徴&見分け方も教えて頂きながらジュエリーに仕立てた時のイメージを優先してピックアップ。
もう十年来のお付き合いになるこちらの業者さん、気になった事を質問するとものすごい情報量で教えて下さるのも有り難く、業界向けのダイヤセミナーで受ける講義に比べてピンポイントで知りたい回答を頂けるので、買い付けながら勉強も一緒に出来てしまう非常に貴重な時間です。






悩みに悩んで抜き出した3点。さて、どの石が何処からやって来たのでしょう.....?



肌にのせた時に美しく見える事が選定の重要ポイントでしたが、折角の機会にオーストラリア、ロシア、アフリカそれぞれのピンクを揃えたら楽しいかなと思い真ん中の石は括り的にはパープルに分類される青みの強いものを選んでみました。業者さん曰く教材に使えそうな選び方だそうで、想定通りにチョイス出来て謎の達成感🤗 答え合わせが気になる方は、ギャラリーにてご覧頂けますのでお気軽にお知らせ下さい。


カラーレスのダイヤもちょっと興味深い石を入手出来ましたので、そのお話はまた次の機会に✨