アトリエには時に、驚くようなオーダーが舞い込みます。
今回顧客様から頂いたご依頼は、お手持ちのコインをアミュレット(御守り)のように身に着けられるペンダントにお仕立てするというものでした。
貴重なコインのため、磨いたり一切の手を加えずにペンダントに加工することをご希望で、一度実物を拝見することになりお持ち頂いたのですが、専用のプラスチックケースと更に保護カバーに包まれた状態でも一目見て分かるデザインの美しさに思わず息を呑みました。
お持ち頂いた御品がこちらです。
紀元700~750年頃(!!!)に造られたイタリア・ロンバルド王国のコイン。
古代コインでありながら欠損や劣化のほぼ見られない、非常に状態の良いこの逸品は元々保管用として流通させることなく仕舞われており、最近になって市場に出てきたそうですから、つまり1300年以上もの間静かに眠っていた事になります。いやはや、悠久......😲💦
古代~中世にかけてのイタリア史はあまり詳しくないので付け焼き刃ですが、ここから少し歴史のお話を。
ロンバルド王国は西暦568又は569年にゲルマン系のロンバルド一族によって建国され、774年にカール大帝によって滅ぼされるまでトスカーナを含む北イタリア、南イタリアの半分以上を治めていたと云われています。
ちなみに日本語では「ランゴバルド王国」とイタリア語 longobardoのカタカナ表記で書かれますが、英語の文献では Kingdom of the Lombards「ロンバルド」と記されます。古代コインの資料は英語表記なので、翻訳のトラップですね;;(ロンバルディアと名のつく国家は1800年代にも存在するので更にややこしい事に😅)